戦後80年あたって

 島根県仏教会は、戦後80年にあたり、世界の各地で紛争が絶えない現実を直視し、全日本仏教会の加盟団体として、次の通り声明を表します。

 先の大戦では、日本で約310万人、全世界で約8500万人、かけがえのない多くの方々が犠牲になりました。あらためて衷心より哀悼の意を捧げます。

 仏陀の言葉『法句経』に曰く、「怨みに報いるに怨みをもってしたならば、ついに怨みのやむことがない。怨みをすててこそやむ。これは永遠の真理である」、「すべての者は暴力におびえる。すべての生きものにとって生命は愛しい。己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」と。

 仏教は、慈悲の教えであり、尊い「いのち」を奪うこと、害することを最も嫌い、最も戒めています。

 真の平和とは、戦争がないことはもちろん、「いのち」の尊厳が守らなければなりません。基本的人権が尊重され、言論・思想・信仰の自由が保障されなければなりません。先の大戦では、多くの教団や宗教者が戦時体制に呑み込まれ、追従し、加担しました。仏陀の教えに照らし、こうした過去の行いを深く反省し、二度と繰り返さない意を強くもたなければなりません。

 私たちは、あらためて深く哀悼の意を捧げ、次の如く誓願いたします。仏陀の「和」の精神を基調にして、尊い「いのち」を大切にせんことを、仏教文化を広く宣揚し、世界の平和に寄与する活動に強く邁進せんことを。

 最後に、島根県仏教会加盟の宗派仏教会・地域仏教会におかれまして、戦後80年にあたっての取り組みをお考えいただけますれば幸甚に存じます。

合掌

令和7年(2025)4月1日

島根県仏教会

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